【私はあなたであった。あなたは私になるだろう】
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写真と本文は無関係です(挨拶
昨夜、逝き慣れた小洒落た定食屋【S】へと夕飯を喰いに逝った。この定食屋は少し遠いのがネックだが、どれを喰ってもハズレがなく、しかもボリューム満点ときておるので、気合いの入った残業をする前によく喰いに逝く。
昨夜はカウンター席に陣取った。すかさずササミカツ定食を注文。少し待ったら定食はやってきた。ウスターソースベースのソースが甘辛く、なんともササミカツに合う。パクパクと食が進み、あっという間に喰い終えようとしたときである。
なんだか急に泣けてきた。
そして涙がボロボロ出て止まらないのである。辺りを見回してみた。テレビはバラエティーをやっており、無謀な自称冒険家が巨大タコを釣り上げると張り切っておった。正直泣ける番組ではない。まったくない。
厨房では揚げ物をしておるようで、フライヤーからけたたましい音が聞こえる。油の煙でやられることもある故、この油にやられたのか、というか煙が出るって油温上げすぎだろう、大将。などと思っておるウチに揚げ物が出来上がり、フライヤーの出番は終わった。
ところが、涙はまったく収まる気配がない。寧ろ酷くなった。どうした、何か悲しいことが過ぎったのかね。自問してみるものの答えが返ってこない。
腐敗がえふえふと泣いておったら、カウンター越しに立っておったおねーちゃんが、こちらに気憑き、申し訳なさそうな表情で、
あ、すみませんっ。ここでタマネギ切って下拵えしてました。
と言ってきおった。涙を抑えながら、カウンター越しを覗いてみれば、なるほど、山のようにタマネギがスライスされておった。得心した。
どうか席代わってくださいと言われたものの、すでに殆ど喰い終わっておるのである。これからどうしろと。仕方なく、お楽しみに取っておいた残りのササミカツを一気にかき込んだ。よく味わうことなく、涙をいっぱい溜めて。
会計の際、大量のおしぼりを手渡された。とはいえ、向こうから値切りの一声はとうとうなかったのである。
今度、【S】には何時逝けば良いであろうな、諸君。
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